« 2012年7月 | トップページ | 2012年10月 »

2012年9月

瀬戸内海洋上でのウトウ観察記録(鳥学会ポスター)

 宮崎県門川町の枇榔島は、カンムリウミスズメの世界最大の繁殖地と言われています。この二十数年間宮崎大学の中村豊さんは、ほぼ一人で毎繁殖期に観察を継続されて来ました。私は2005年春から5月のゴールデンウィークを利用して、中村さんの調査のお手伝いをしています。長年の中村さんによる調査にもかかわらず、枇榔島で繁殖したカンムリウミスズメの巣立ち後の行動圏は未だ不明です。

 2008年瀬戸内海でカンムリウミスズメの親子が観察され、枇榔島で繁殖した親鳥が瀬戸内海で子育てをしている可能性がでてきました。そこで2009年5月より我々は伊東を母港に伊豆のカンムリウミスズメの洋上調査に使用していた調査船を大分に移動して、枇榔島から瀬戸内海に通じる豊後水道洋上での調査を1から2ヶ月に一度行っています。

 その調査活動中の本年3月、大分の国東半島沖でウトウの群れに遭遇、瀬戸内海での過去の文献的観察記録の無いことから下記のポスターにて報告しました。ウトウの一部個体群は瀬戸内海を越冬海域として利用していることが示唆され、移動ルート、越冬個体数、越冬個体の繁殖地、瀬戸内海利用の行動学的意味等興味深いテーマです。海鳥生息数が世界的に減少している現在、閉鎖海域である瀬戸内海での分布調査は、生物の多様性保全上重要な情報となりえます。観察記録をお持ちの方は、ご一報いただければ幸いです。
 

__120913

 NRDAアジアの海鳥調査保護活動にご助成いただいている、パタゴニア日本支社の皆さんに深謝いたします。豊後水道における洋上調査にご協力いただいている、NPO法人かまえブルーツーリズム研究会の久保田正文様、マリンピアむさしのスタッフの皆様に感謝いたします。

文責:植松

長崎県対馬におけるアビ類の油汚染について(日本鳥学会ポスター)

 9月14日ー17日、東京大学本郷キャンパスで開催された日本鳥学会100周年記念大会にて表題のポスター発表を行いました。用意した別刷りと早春に企画している対馬バードウォッチングツアーで船を出してくださる比田勝漁協海子丸さんのパンフレットは連日用意した分がすぐに無くなってしまい、海鳥に関心のある方が大勢参加されているようでした。
 当会の活動にご助成いただいたパタゴニア日本支社、調査・保護にご協力いただいた全ての 皆様、写真を提供してくださった対馬野鳥の会の皆様に深謝いたします。この冬は対馬島内大船越に設置したリハビリテーションセンターで本格的に救護活動に取り組む予定です。対馬内外の皆様のこれまで以上のご協力がいただければ幸いです。

120907

鳥学会要旨(その2)9月14日(金曜日)~17日(祝日)

長崎県対馬におけるアビ類の油汚染について
○植松一良(NRDA アジア,対馬野鳥の会,昭島動物病院)渡辺浩幸・山本英恵
(NRDA アジア,対馬野鳥の会),植松明香(ジェームスクック大学),貞光隆志・西剛
(対馬野鳥の会)

 長崎県対馬において、2006 年2月2日以降、油汚染による海鳥の被害が認められた。斃死個体は 62、保護個体は 25 で、その殆どがアビ類であった(IFAW,2006)。対馬での海鳥の油汚染は 1964 年にはすでに記録されており(鴨川・山口,1976)、近年では、1997 年に韓国・巨済島(コジェド)沖で座礁した韓国船籍タンカーの第三オソン号から流出した重油による被害が知られている。アビ類が主な被害鳥となる漂着事例は 2000 年以降顕在化したものだが、これまでに原因は特定されていない。発生状況から、小中規模の排出源から継続的に排出される油により、渡りで南下する海鳥が被害を受けていると推測されている。
 対馬野鳥の会では被害の発生する冬から春にかけて、汚染鳥の発生状況調査を行っている。また、2010 年から NRDA アジアは漂着を待つのではなく積極的に汚染個体を捕獲し、早期にリハビリテーションを実施することにより確実な野生復を試みている。2011 年に対馬市内にリハビリセンターを設置し、洗浄・リハビリを早期に確実に実施できるよう体制を整えつつある。その目指すところは、繁殖地との共同研究である。
2002年からのデーターに基づいて、対馬における油汚染被害の実態並びに現地で行われている保護対策について報告する。
謝辞
NRDA アジアの海鳥保護活動にご助成いただいたパタゴニア日本支社に深謝いたします。
Loon_1210


鳥学会要旨(その1)9月14日(金曜日)~17日(祝日)

瀬戸内海洋上でのウトウ観察記録

渡辺浩幸・山本英恵(NRDAアジア)、岩﨑脩・竹本明日香・黒田ゆうび・植松眞理(昭島動物病院)、植松明香(ジェームスクック大学)、森千恵子・植松一良( NRDAアジア・昭島動物病院)


 ウトウ Cerorhinca monocerataは、北朝鮮からサハリン、北海道、千島列島、アリューシャン列島およびアラスカ半島からアメリカ合衆国太平洋岸北部にかけて繁殖し、その周辺海域で越冬する(Harrison 1983)。そのうち日本では北日本の島嶼で繁殖し、冬には少し南下する(高野 1982)。

 2010年4月から現在まで豊後水道と伊予灘の洋上で、我々は全長9.5mの小型船舶を用いて1から2ヶ月に一度の頻度で主にカンムリウミスズメを対象とした分布調査を実施している。本年3月伊予灘の国東半島の沖合で洋上調査を実施中、ウトウの複数個体群を観察した。ウトウの繁殖地南限は宮城県の足島とされ、「陸前江ノ島のウミネコおよびウトウ繁殖地」として、「天売島海鳥繁殖地」とともに国の天然記念物に指定されている。非繁殖期には本州の日本海並びに太平洋沿岸で観察されるが、洋上での調査頻度が高くない為か文献的報告は乏しい。1997年冬日本海で発生したナホトカ号オイル・スピル後の油汚染海鳥被害委員会(OBIC)の海岸線漂着鳥調査(Beached Birds Survey)で497羽もの本種生死体漂着が記録され、初めて石川県以西の日本海がウトウの越冬海域として重要であることが認識された経験も我が国の洋上における生物多様性に関する情報の乏しさを裏付けている。

 国内外の学術文献上瀬戸内海の観察記録の記載が無いことに加えて、繁殖地の分布を考慮するとこの種の瀬戸内海への移動ルート並びに非繁殖期における瀬戸内海の利用頻度の解明は生態学上興味深ので、今回学術文献以外の報告並びに観察海域の気象・海象等を含めて報告したい。

謝辞、
 NRDAアジアの海鳥の調査保護活動にご助成いただいているパタゴニア日本支社の皆さんに深謝いたします。豊後水道における洋上調査にご協力いただいている、NPO法人かまえブルーツーリズム研究会の久保田正文様・マリンピアむさしのスタッフの皆様に感謝いたします。
120825__01_120320


これからのリスク管理を語ろう(9/11)

  東日本大震災では、被災を前提とした防災体制や災害情報の一元化が脆弱である事を浮き彫りにしました。NRDAアジアも参加している「新しい公共をつくる市民キャビネット」スマート ICT 部会では、この問題を取り上げ、情報システムが稼働 する前提条件である「災害情報を共有するしくみ」として、アメリカで行われている危機管理の先端に触れ、比較する事で今後の危機管理の方向性の議論の礎になるようフォーラムを開催します。
  今回は、日本で数少ない ICS※を実践している御二方にリスク管理の現状と ICT について語ってもらいま す。是非ご参加ください。

ICS(インシデント・コマンド・システム(現場指揮システム))とは

2012_9__1_2
申込用紙をダウンロード

« 2012年7月 | トップページ | 2012年10月 »