カテゴリー「ウトウ」の記事

瀬戸内海洋上でのウトウ観察記録(鳥学会ポスター)

 宮崎県門川町の枇榔島は、カンムリウミスズメの世界最大の繁殖地と言われています。この二十数年間宮崎大学の中村豊さんは、ほぼ一人で毎繁殖期に観察を継続されて来ました。私は2005年春から5月のゴールデンウィークを利用して、中村さんの調査のお手伝いをしています。長年の中村さんによる調査にもかかわらず、枇榔島で繁殖したカンムリウミスズメの巣立ち後の行動圏は未だ不明です。

 2008年瀬戸内海でカンムリウミスズメの親子が観察され、枇榔島で繁殖した親鳥が瀬戸内海で子育てをしている可能性がでてきました。そこで2009年5月より我々は伊東を母港に伊豆のカンムリウミスズメの洋上調査に使用していた調査船を大分に移動して、枇榔島から瀬戸内海に通じる豊後水道洋上での調査を1から2ヶ月に一度行っています。

 その調査活動中の本年3月、大分の国東半島沖でウトウの群れに遭遇、瀬戸内海での過去の文献的観察記録の無いことから下記のポスターにて報告しました。ウトウの一部個体群は瀬戸内海を越冬海域として利用していることが示唆され、移動ルート、越冬個体数、越冬個体の繁殖地、瀬戸内海利用の行動学的意味等興味深いテーマです。海鳥生息数が世界的に減少している現在、閉鎖海域である瀬戸内海での分布調査は、生物の多様性保全上重要な情報となりえます。観察記録をお持ちの方は、ご一報いただければ幸いです。
 

__120913

 NRDAアジアの海鳥調査保護活動にご助成いただいている、パタゴニア日本支社の皆さんに深謝いたします。豊後水道における洋上調査にご協力いただいている、NPO法人かまえブルーツーリズム研究会の久保田正文様、マリンピアむさしのスタッフの皆様に感謝いたします。

文責:植松

長崎県対馬におけるアビ類の油汚染について(日本鳥学会ポスター)

 9月14日ー17日、東京大学本郷キャンパスで開催された日本鳥学会100周年記念大会にて表題のポスター発表を行いました。用意した別刷りと早春に企画している対馬バードウォッチングツアーで船を出してくださる比田勝漁協海子丸さんのパンフレットは連日用意した分がすぐに無くなってしまい、海鳥に関心のある方が大勢参加されているようでした。
 当会の活動にご助成いただいたパタゴニア日本支社、調査・保護にご協力いただいた全ての 皆様、写真を提供してくださった対馬野鳥の会の皆様に深謝いたします。この冬は対馬島内大船越に設置したリハビリテーションセンターで本格的に救護活動に取り組む予定です。対馬内外の皆様のこれまで以上のご協力がいただければ幸いです。

120907

鳥学会要旨(その1)9月14日(金曜日)~17日(祝日)

瀬戸内海洋上でのウトウ観察記録

渡辺浩幸・山本英恵(NRDAアジア)、岩﨑脩・竹本明日香・黒田ゆうび・植松眞理(昭島動物病院)、植松明香(ジェームスクック大学)、森千恵子・植松一良( NRDAアジア・昭島動物病院)


 ウトウ Cerorhinca monocerataは、北朝鮮からサハリン、北海道、千島列島、アリューシャン列島およびアラスカ半島からアメリカ合衆国太平洋岸北部にかけて繁殖し、その周辺海域で越冬する(Harrison 1983)。そのうち日本では北日本の島嶼で繁殖し、冬には少し南下する(高野 1982)。

 2010年4月から現在まで豊後水道と伊予灘の洋上で、我々は全長9.5mの小型船舶を用いて1から2ヶ月に一度の頻度で主にカンムリウミスズメを対象とした分布調査を実施している。本年3月伊予灘の国東半島の沖合で洋上調査を実施中、ウトウの複数個体群を観察した。ウトウの繁殖地南限は宮城県の足島とされ、「陸前江ノ島のウミネコおよびウトウ繁殖地」として、「天売島海鳥繁殖地」とともに国の天然記念物に指定されている。非繁殖期には本州の日本海並びに太平洋沿岸で観察されるが、洋上での調査頻度が高くない為か文献的報告は乏しい。1997年冬日本海で発生したナホトカ号オイル・スピル後の油汚染海鳥被害委員会(OBIC)の海岸線漂着鳥調査(Beached Birds Survey)で497羽もの本種生死体漂着が記録され、初めて石川県以西の日本海がウトウの越冬海域として重要であることが認識された経験も我が国の洋上における生物多様性に関する情報の乏しさを裏付けている。

 国内外の学術文献上瀬戸内海の観察記録の記載が無いことに加えて、繁殖地の分布を考慮するとこの種の瀬戸内海への移動ルート並びに非繁殖期における瀬戸内海の利用頻度の解明は生態学上興味深ので、今回学術文献以外の報告並びに観察海域の気象・海象等を含めて報告したい。

謝辞、
 NRDAアジアの海鳥の調査保護活動にご助成いただいているパタゴニア日本支社の皆さんに深謝いたします。豊後水道における洋上調査にご協力いただいている、NPO法人かまえブルーツーリズム研究会の久保田正文様・マリンピアむさしのスタッフの皆様に感謝いたします。
120825__01_120320


豊後水道洋上調査(3/20/2012)

Murrelet2_log_120320


油汚染海鳥死体整理

2010年と2011年の冬に対馬野鳥の会の皆さん初め、生きて捕獲できず死体で回収されたアビ類を冷凍庫で預かっていただいていました。対馬研究所開設を機に冷凍庫を購入、2年分の死体を整理しました。

アビsp 1/29/2010 木坂
ウミスズメ 1/29/2010 青海
シロエリオオハム 1/29/2010 青海
ウミネコ 1/30/2010 青海
シロエリオオハム 1/30/2010 青海
シロエリオオハム 2/8/2010 深山
シロエイオオハム(?) 2/22/2011 泉
アビsp 2/22/2011 泉
オオハムsp 2011 小茂田

Loon_20101

US Geological Survey の2010年のレポートに、アラスカで繁殖するアビの数が減っていてその原因として越冬地での化学物質汚染があげられています。今後そのレポートを書いた研究者との共同研究ができればと思っています。

続きを読む "油汚染海鳥死体整理" »

ミッション

  • 人間活動に起因する環境災害の被害を受けて生存の危機にある野生生物を可能な限り救護し、野生復帰に必要なリハビリテーションを実施する活動を通じてアジアの生物多様性保全に貢献する。
  • 環境災害による自然資源の損害の程度を客観的に評価し、その回復に必要な具体的手段・手法を提案する。

ゴール

  • 次の世代にアジアの豊かな海洋生態系を引き継ぐ。


活動内容

  1. アジアで発生した油汚染事故時のNRDAコンサルティング事業
  2. 海岸漂着ごみ問題解決のためのエコツーリズム支援事業
  3. 原子力発電所事故に伴う野生生物被爆実態モニタリング事業
  4. アジア周辺海域で繁殖する稀少な海鳥の調査・保護事業
  5. その他人間活動により引き起こされる生態系被害の回復にかかわる事業

事務局 190-0023 東京都立川市柴崎町3-6-17-704 tel:042-595-7838 fax:042-595-7045

対馬海鳥救護研究所 817-0323 長崎県対馬市大船越 tel:080-8033-5466

玄界灘洋上調査 3/6/2011

110306_rino

 この冬の対馬での海雀号による調査を終了、本日午前9時州藻を出航。10時過ぎに潮に乗って万関橋を快調に通過して三浦湾から外洋に出ました。防波堤を出てすぐ、黒島の南の洋上でウトウ一羽を観察。私自身は対馬近海では初めてです。

 本日の目的地、沖ノ島を目指して小雨の中東へ。途中で風が南に変わり、徐々に気温が下がってきました。時折オオミズナギドリに遭遇するも、他の鳥の姿はなし。15時過ぎに沖ノ島が見えてきました。沖ノ島の手前でオオミズナギドリ百羽以上の群が洋上で休息、沖ノ島は繁殖地です。島の手間でアビSP.を見つけましたが、種の確定にはいたらず。くちばしが黒かったので、たぶんオオハム。

 島を一周しましたが、カンムリウミスズメの姿はありませんでした。周囲に漁船がたくさんいましたので、明日の朝に期待です。

 17時ごろ入港、漁船が5杯ほど係留中。反対の岸壁に係船して看板を見ると、島全部が宗像神社の所有地で、女人禁制、上陸には海水で身を清めてからとの記載があり寒くて断念。今夜は船内で過ごします。

110306_log